コンビニエンスストアの代表的な商品はなぜ、壁にぶち当たったのか。
99年当時、カップ麺市場は年間で約500もの新製品が店頭に送り込まれていた。
コンビニの有力商品だけに、どのメーカーも力を入れて投入してきた。
昧もそこそこでメーカー側に落ち度はなかったはずだ。
それでもカップ麺のライフサイクルは極めて短く、発売から2週間で店頭から外される商品も多かった。
スーパーの店頭では、売れ行き不振になると特売対象になった。
同じ商品でもコンビニとスーパーで大きな価格差が出てしまい、コンビニでの販売がますます落ち込むという悪循環に陥っていた。
一方、テレビやグルメ雑誌では人気ラーメン店が取り上げられていた。
横浜にはラーメン博物館もでき、消費者のラーメンに対する関心の高さが伺えた。
Sは若者が依然として有力な顧客なだけに、店に新しい情報を期待しているはずだ。
それなのにSは世の中の流れに大きく遅れをとっていた。
カップ麺を担当していた商品本部のIは、1998年、業界最大手のN食品に「ご当地ラーメンを作って頂けませんか」と、話を持ちかけた。
N食品はカップ麺市場でシェアを約50%も握るガリバー。
高い技術力を期待してのお願いだったが、「特定の流通企業(販売チャネル)の商品を作ることは出来ない」とやんわりと断わられてしまった。
Iは方針転換をした。
T、E、Mの3社に同じように声を掛けた。
3社は快諾し、Sの誘いに乗った。
ただ3社が提供するのは麺だけという条件が付いていた。
スープや具材についてはSが別々に各専業メーカーに参加を呼びかけた。
みそはH、醤油はKなど、チャーシューはN、P、Iが参加。
具材はフリーズドライの技術が高い協和発酵が参加した。
このプロジェクトは大企業ばかりがメンバーだった。
技術力は折り紙付きの企業ばかりだったため、日本D協同組合(NDF)は関与していない。
しかし、商品開発の基本的な手順においてはNDFの発想が生かされた。
「ラーメン会議」と命名したプロジェクトには、結果的に約30社が参加した。
Sは、ラーメン店がひしめき合う札幌、和歌山、尾道(広島県)、旭川(北海道)、喜多方(福島県)、熊本の6ヵ所について、ご当地ラーメンの開発を要請した。
まず会合では、1社1社が「こうすればおいしいラーメンが出来る」と自信のある技術や製法をプレゼンテーションした。
当初、カップ麺メーカーは「自分たちだけでご当地ラーメンをやらせて欲しい」とSに求めたが、参加企業のいろいろな提案を聞いているうちに考えが変わったという。
Kは日ごろから業務用として地場のラーメン店に商品を供給しており、ラーメンのスープへの造詣は深かった。
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